【余談】 【読書】 夏目漱石 「私の個人主義」

【余談】 【読書】 夏目漱石 「私の個人主義」

「私の個人主義」 は漱石が学習院輔仁会で学生に対して行った講演録。

「根のない萍 (うきぐさ) のように、
そこいらをでたらめに漂っていた」 「他人本位」 の状態に
身を置きつづけてきたことが、自身が神経衰弱に陥った原因であることを告げ、
結局、自分の進むべき道は自分が掘り当てる所まで突き進むより
自分を救う途はないのだと悟り、聴衆の学生に 「自己本位」 を促す
漱石の姿は圧巻であり、感動的です:

   私はこの自己本位という言葉を自分の手に握ってから
  大変強くなりました。彼ら何者ぞやと気概が出ました。
  今まで茫然と自失していた私に、ここに立って、
  この道からこう行かなければならないと
  指図をしてくれたものは実にこの自己本位の四字なのです。

   自白すれば私はその四字から新たに出立したのであります。
  そうして今のようにただ人の尻馬にばかり乗って
  空騒ぎをしているようでははなはだ心元ない事だから、
  そう西洋人振らないでも好いという動かすべからざる理由を
  立派に彼らの前に投げ出して見たら、自分もさぞ愉快だろう、
  人もさぞ喜ぶだろうと思って、著書その他の手段によって、
  それを成就するのを私の生涯の事業としようと考えたのです。

   その時私の不安は全く消えました。
  私は軽快な心をもって陰鬱なロンドンを眺めたのです。
  比喩で申すと、私は多年の間懊悩 (おうのう) した結果
  ようやく自分の鶴嘴 (つるはし) をがちりと鉱脈に
  掘り当てたような気がしたのです。
  なお繰り返していうと、今まで霧の中に閉じ込まれたものが、
  ある角度の方向で、明らかに自分の進んで行くべき道を
  教えられた事になるのです。

  (中略)

   自己本位というその時得た私の考は依然としてつづいています。
  否 (いな) 年を経るに従ってだんだん強くなります。
  著作的事業としては、失敗に終わりましたけれども、
  その時確かに握った自己が主で、他は賓 (ひん) であるという信念は、
  今日の私に非常の自信と安心を与えてくれました。
  私はその引続きとして、今日なお生きていられるような心持がします。

  [夏目漱石 「私の個人主義」 『私の個人主義』 (講談社学術文庫 [pp.136-137])]

恥ずかしながら、私は齢40にもなろうというのに、これまで漱石の小説を
まともに読んだことがないのですが……(汗;、本講演録を通じて、
漱石を非常に身近に感じました。

『坊ちゃん』 あたりから試してみようかしら。

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